はじめに
エンジニアとして働いていると、ふと「このままでいいのかな?」とキャリアチェンジを考える瞬間がありますよね。
業務系からWeb系へ、SIerから事業会社へ――。転職サイトやSNSでは「自由度が高い」「年収が上がる」といった声が目立ち、つい魅力的に聞こえます。
しかし実際には、思っていたほど年収が上がらなかったり、逆に100万〜150万円も下がってしまったりするケースも少なくありません。
「もっと良い環境を求めたはずなのに、前職の方がマシだった…」と後悔する人も多いのです。
この記事では、エンジニアが後悔しやすい危険なキャリアチェンジ6選を具体的に解説し、それぞれのリスクと回避策を紹介します。
キャリアを考える上での落とし穴を知っておくことで、より戦略的に、自分に合った道を選ぶ助けになるはずです。
危険なキャリアチェンジ6選とリスク
2-1. 業務系からWeb系へのキャリアチェンジ
「Web系の方が自由そうだし、リモートワークもしやすい」と思って業務系からWeb系への転職を考える人は多いです。
しかし現実は、年収が100万〜150万円も下がるケースが珍しくありません。特に、受託Web開発や中小の自社開発企業では、給与水準が業務系より低い傾向があるため注意が必要です。
さらに、かつての「Webエンジニア採用バブル」は落ち着いており、未経験や異分野からの参入は厳しくなっています。結果として、「自由な働き方を求めたのに、収入も安定性も失った…」という後悔に繋がりやすいのです。
代替案と考慮すべきポイント
- ユーザーとの距離感:Web系でなくても、エンドユーザーと直接やり取りできる業務系企業はあります。顧客の声を反映した開発経験は十分市場価値があります。
- リモートワーク:JavaやC#を使った業務システム開発でも、フルリモートや地方勤務可能な企業は存在します。必ずしもWeb系がリモートに強いとは限りません。
- 技術の鮮度:「JavaやC#は古い」と思われがちですが、最新のSpringや.NETを扱う案件なら市場価値は高いままです。重要なのはフレームワークやバージョンです。
- フロントエンド経験:ReactやTypeScriptを使った開発を業務系で経験できる企業もあります。案件規模によっては技術選定から関われることもあります。

つまり、「Web系なら年収も働き方も良くなる」という考えは過去のもの。自分のスキルや希望条件に合う業務系企業を探す方が、むしろキャリアの安定や成長につながる可能性があります。
2-2. SIerから事業会社へのキャリアチェンジ
「自社開発で腰を据えて働きたい」「ユーザーに近い環境でサービスを成長させたい」――そんな理由で事業会社を目指すSIer出身者は少なくありません。
ただし、ここにも大きな落とし穴があります。
事業会社のエンジニアは、単にシステムを作るだけではなく、サービスや事業そのものを成長させることが求められます。つまり、「指示通りに動く」スタイルに慣れていると、ギャップに苦しむケースが多いのです。
リスクと注意点
- サービスへの興味が必須:「スキルアップしたい」だけでは動機として弱く、自社サービスへの情熱や貢献意欲がなければやりがいを感じにくい。
- 主体性が求められる:「ログイン画面が遅い」といった課題に対して、自分で仮説を立て、改善策を考え、実行する力が必要。
SIerでの「要件通りに作る」経験だけでは不十分なことも。 - 評価軸の違い:納期遵守や品質よりも、ユーザー体験や事業成長への貢献度で評価される。思考の切り替えができないと苦労する。

SIerと事業会社は優劣の関係ではなく、求められる志向性がまったく違うフィールドです。
「安定的に大規模システムを動かしたい人」にはSIerが合っていますし、「サービスを育てたい」「ユーザーに価値を届けたい」人には事業会社が向いています。
転職前に、自分がどちらのスタイルに合っているかをしっかり見極めましょう。
2-3. 非IT事業会社へのキャリアチェンジ
最近はニトリや日本経済新聞など、非IT企業が自社内にエンジニア組織を立ち上げる例も増えています。
「大手の安定感があるし、給料も高そう」と感じて挑戦する人も多いですが、実はここにも落とし穴があります。
リスクと注意点
- 低いITリテラシー:経営層や社員全体のIT理解が浅いと、開発環境が極端に古かったり、非効率な方法を強要されたりすることがあります。
例:Gitの利用がセキュリティ上NG、クラウド利用が許可されないなど。 - ビジネスサイドの影響力が強い:営業部や経営陣の意向が最優先となり、エンジニアの裁量が極端に小さいケースも少なくありません。改善提案が通らず「指示待ち作業」になりがちです。
- 評価制度のミスマッチ:営業や人事と同じ評価基準で査定されることがあり、成果が「リリース回数」や「バグ件数」など表面的な数値に偏る場合があります。
- 年収の期待値が高い:非IT企業で750万円のオファーが出ることもありますが、その水準は「部長クラス」の期待を意味する場合も。入社後に経営や営業まで任され、想定外のプレッシャーを感じる人もいます。
入社前に確認すべきポイント
- 決算資料を見て売上・利益が伸びているか
- 社内のIT部門にどれだけ裁量があるか
- 開発環境・利用ツールがどの程度モダンか
- エンジニア評価制度が他職種と分けられているか

非IT企業のエンジニアは「安定した大手企業で働きたい」人にとって魅力的ですが、環境次第ではスキルもモチベーションも停滞しかねません。
事前のリサーチとカジュアル面談で、必ず環境や期待値を確認してから決断することが大切です。
2-4. インフラエンジニアから開発エンジニアへのキャリアチェンジ
「コードを書けるようになりたい」「アプリ開発に携わりたい」という理由で、インフラから開発へ転職を考える人は少なくありません。
ですが、このキャリアチェンジは年収ダウンのリスクが非常に高いパターンです。
なぜ年収が下がるのか?
インフラエンジニアとしてクラウドやネットワークの設計・構築経験があれば、2〜3年で550万〜600万円程度の年収を狙えるケースも珍しくありません。
一方、開発エンジニアとしては経験がゼロからのスタートとなるため、同等の待遇を維持するのは難しいのです。結果的に「キャリアは前進したが年収は後退」ということが起こりがちです。
SREという選択肢
そこでおすすめなのがSRE(Site Reliability Engineer)というポジションです。
インフラの知識をベースにしつつ、コードを書いて運用を自動化したり、システムの信頼性を高めたりする仕事で、従来のインフラ業務と開発の両方をカバーできるのが特徴です。
- 活かせる経験:クラウド・ネットワーク設計、IaC(Terraformなど)、開発経験1年以上
- 年収レンジ:
- エントリーレベル(インフラ経験2〜3年+開発経験1年):550万〜650万円
- SRE経験2〜3年:650万〜800万円
- 大規模サービス(数百万ユーザー規模)の経験者:900万〜1,200万円

「開発に挑戦したい」という思いは大切ですが、完全にゼロから始めるのではなく、インフラ経験を活かせるキャリアパスを選んだ方が収入・市場価値の両面で後悔を防ぎやすいです。
2-5. エンジニアからITコンサルタントへのキャリアチェンジ
「もっと年収を上げたい」「上流工程で活躍したい」――そんな理由からITコンサルを目指すエンジニアは多いです。
確かにITコンサルタントは年収が上がりやすいキャリアですが、適性を間違えると後悔しやすい職種でもあります。
メリット
- 年収アップのチャンスが大きい(550万〜700万円スタート、PL/PM経験者なら700万〜1,000万円も可能)
- 経営層や部長クラスと直接やり取りし、提案力やコミュニケーションスキルを磨ける
- 事業成長やサービス改善にダイレクトに貢献できるやりがい
リスク・注意点
- 「とにかく年収を上げたい」だけで飛び込むと、激務や適性の壁で後悔することが多い
- SIerから大手SIerへの転職でも年収100万〜200万円上がるケースがあるため、無理にコンサルを選ばなくても収入アップは可能
- 論理的思考力・主体性・提案力がないと、クライアントとの対話についていけず苦労する
誤解されやすいポイント
「ITコンサルは手を動かさない」と思われがちですが、最近は企画からコーディングまで一貫して行うファームもあります。
つまり、企業によって業務範囲が大きく異なるため、求人票や面談でしっかり確認することが重要です。

ITコンサルは大幅な年収アップが期待できる反面、「コミュ力と主体性」が欠かせない職種です。
エンジニアとしての経験を活かしつつ、事業や経営に深く関わりたい人にとっては大きなチャンスですが、安易に選ぶと後悔につながるので注意しましょう。
2-6. なんとなく自社開発企業や事業会社を選ぶ
「受託やSIerよりも自社開発の方が自由度が高そう」「事業会社なら安定していそう」といった理由で、深く考えずに転職してしまうケースもあります。
しかし“なんとなく”で選ぶキャリアチェンジは、後悔の確率が非常に高いのが現実です。
リスクと問題点
- 技術的挑戦の欠如:事業が伸びていない会社では、古いフレームワークやレガシー環境が放置されがち。新しい技術に触れる機会が少ない。
- マネジメント経験が積みにくい:利益が出ていない企業は人員が増えず、リーダーやマネージャー経験を得にくい。
- 年収が停滞する:サービスが成長しない会社ではエンジニアの評価も伸びず、給与が横ばいのままになることが多い。
儲かっている企業の見分け方
- 上場企業:決算資料を確認し、売上と利益が年々伸びているかをチェック
- 非上場企業:カジュアル面談などでヒアリングすることが重要
- 有料ユーザー数が伸びているか
- SaaS型の場合、解約率が2〜3%以内に収まっているか
- 競合と比較したときに明確な強みがあるか

「自社開発=安定・自由」というイメージに惑わされず、その会社が本当に成長しているかどうかを見極めることが大切です。
企業の将来性を見誤ると、キャリアの停滞や後悔につながりかねません。
3. キャリアチェンジで後悔しないための戦略
ここまで紹介した6つの危険なキャリアチェンジは、「やりたいこと」と「現実」のズレから後悔に繋がりやすいものでした。
では、どうすればキャリアチェンジを成功させられるのでしょうか?ここでは後悔を避けるための戦略を整理します。
1. 転職の目的を明確にする
「なぜ転職したいのか」をはっきりさせることが第一歩です。
- 年収を上げたいのか
- 最新技術を扱いたいのか
- 働き方(リモート・残業削減)を変えたいのか
この軸が曖昧なまま動くと、入社後に「思っていたのと違う…」となりがちです。
2. キャリアの選択肢を広げて比較する
「業務系→Web系」や「インフラ→開発」といった極端なチェンジだけが道ではありません。
- 業務系の中でモダン技術を扱う企業に移る
- インフラ経験を活かしてSREを目指す
- 同じSIerでも大手に移って年収アップを狙う
複数の選択肢を並べて比較することで、無理のないキャリア戦略が描けます。
3. 転職エージェントを活用する
個人で企業の内情を調べるには限界があります。そこで頼りになるのが転職エージェントです。
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自分一人で探すより、専門のアドバイザーから情報をもらった方が、企業の「裏側」まで知ることができ、ミスマッチを防げます。
4. まとめ
今回は、エンジニアが後悔しやすい危険なキャリアチェンジ6選をご紹介しました。
- 業務系 → Web系:必ずしも年収アップにはつながらない
- SIer → 事業会社:サービスへの情熱と主体性が必須
- 非IT事業会社:ITリテラシー不足や評価制度のミスマッチに注意
- インフラ → 開発:年収ダウンのリスク大、SREなら活かせる
- エンジニア → ITコンサル:年収は上がりやすいが適性が重要
- なんとなく自社開発を選ぶ:成長性のない企業は危険
どのキャリアにもメリット・デメリットがあります。大切なのは「なぜ転職したいのか」という目的を明確にし、リスクを理解した上で選ぶことです。
そして、後悔しないためには情報収集と比較検討が欠かせません。自分に合ったキャリアを冷静に見極めて、納得できる選択をしていきましょう。
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よくある質問(Q&A)
- Q業務系からWeb系に行った方が将来性はありますか?
- A
必ずしも「Web系=将来性が高い」とは限りません。
最新のフレームワークを扱う業務系企業や、大規模システム開発の経験も十分に市場価値があります。 大切なのは「どの技術を、どんな規模で、どんなユーザーのために使っているか」です。
- Qインフラから開発に移るのはやめた方がいいですか?
- A
完全にゼロからの開発キャリアは年収ダウンのリスクが高いです。
ただし、インフラの知識を活かせるSREなら、年収を維持しつつ開発寄りのスキルも磨けるのでおすすめです。







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