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Pythonの「小さな設計ミス」が後で地獄を見るパターン10選|コードスメル&負債の潰し方

クラス設計・OOP入門

Pythonでコードを書いていると、
「ちゃんと動いているし、今は問題ないからこのままでいいかな」
そんな気持ちになる瞬間、ありますよね。

でも実はその“小さな妥協”こそが、数か月後・数年後に本気で地獄を見る原因になりがちです。

例外をとりあえず握りつぶす。
クラスがちょっと大きくなってきたけど後回し。
同じ処理をコピペで増やす。

どれもその場では正解に見えます。
テストも通るし、リリースも間に合う。
だからこそ、誰も止めてくれません。

しかし、こうした「小さな設計ミス」は確実に積み重なり、
・修正が怖くて触れないコード
・ちょっと直すだけで別の場所が壊れる構造
・新しく入った人が理解できないブラックボックス
を生み出します。

本記事では、Python開発の現場で本当によく見かける 「最初は軽く見られがちだけど、後で確実に苦しむ設計ミス」を10個厳選しました。

さらに、

  • なぜそれが問題になるのか
  • どうして現場で起こりやすいのか
  • どう直せば“地獄”を回避できるのか

という視点で整理し、明日からのコードにすぐ活かせる改善の考え方まで落とし込みます。

完璧な設計を目指す必要はありません。
ただ、「将来の自分やチームを苦しめない選択」を知っておくだけで、コードの寿命は驚くほど変わります。

「昔の自分のコードを見て、そっとファイルを閉じたことがある」
そんな経験がある人ほど、きっと刺さる内容です。

それでは早速、
Pythonの「小さな設計ミス」が後で地獄を見るパターンを見ていきましょう。


なぜ「小さな設計ミス」は見逃されやすいのか

Pythonは書き始めやすく、少ないコード量でもすぐに動くのが大きな魅力です。
その一方で、この「すぐ動く」特性が、設計ミスを見逃す原因にもなります。

開発初期や個人開発では、

  • とりあえず動かすことが最優先
  • 後で直せばいいという判断
  • 将来の変更をまだ想像できない

こうした状況が重なり、設計よりも実装スピードが優先されがちです。

問題なのは、設計ミスの多くが「すぐに壊れない」ことです。
エラーも出ないし、テストも通る。
だから「問題ないコード」として扱われてしまいます。

しかし、内部では少しずつ歪みが溜まっていきます。

例えば、

  • 1つのクラスが責務を持ちすぎている
  • 例外処理の意図が分からない
  • 同じロジックが複数箇所に散らばっている

こうした状態は、技術的負債として静かに成長します。

技術的負債が厄介なのは、時間が経つほど利息が増える点です。
機能追加に時間がかかる。
修正するたびに不安になる。
触れる人が限られていく。

結果として、

  • 「直したいけど触れないコード」
  • 「分かる人がいないブラックボックス」
  • 「小さな修正が大事故になる構造」

が完成します。

多くの場合、地獄を見るのは設計した本人ではなく、数か月後の自分やチームメンバーです。

だからこそ重要なのは、
「今すぐ壊れるか」ではなく、
「後から安全に直せるか」という視点です。

次の章では、そうした視点で見たときに危険度が高い、
Pythonで本当によくある設計ミスを10個紹介していきます。




Pythonの「小さな設計ミス」が地獄を見るパターン10選

ここからは、Python開発の現場で「最初は軽く見られがちなのに、後で確実に苦しむ」設計ミスを具体的に見ていきます。

どれも「知らなかったからやってしまう」「忙しくて後回しにした結果起きる」ものばかりです。
もし心当たりがあっても、自分を責める必要はありません。
大切なのは、今気づけたかどうかです。


① 空または広すぎる except ブロック

except:except Exception: のように、あらゆる例外をまとめて捕まえ、何も処理しない設計です。

一見すると、

  • エラーで止まらない
  • ユーザーに影響が出にくい

というメリットがありそうに見えます。

しかし実際には、本当に直すべきバグまで一緒に握りつぶしてしまう危険な書き方です。

原因が分からないまま挙動だけがおかしくなり、
「再現しない」「ログも残らない」
という最悪のデバッグ状況を生みます。

対策としては、

  • 可能な限り例外を限定する
  • 最低でもログを残す
  • 握りつぶす理由をコメントで明示する

といった対応が必要です。


② 神オブジェクト(巨大なクラス)

1つのクラスが、
UI、ビジネスロジック、データアクセス、設定管理など、
あらゆる責務を抱え込んでいる状態です。

最初は「ここを見れば全部分かる」ように感じますが、
機能追加を重ねるたびにクラスは肥大化していきます。

その結果、

  • どこを直せばいいのか分からない
  • 1か所の変更が別の機能に影響する
  • テストが書けない、書きたくない

といった状態に陥ります。

これは単一責任の原則が守られていない典型例です。
「今は1クラスで足りている」ではなく、
「将来分けられる構造か」を意識することが重要です。


③ スパゲッティコードと深いネスト

ifforwhile が何重にもネストし、
処理の流れを上から追えないコードです。

書いている本人は理解していても、
時間が経つと自分ですら読み解くのが辛くなります。

深いネストは、

  • 条件の組み合わせミス
  • 修正時の分岐漏れ
  • 意図しない処理の実行

を引き起こしやすく、バグの温床になります。

早期リターンや処理の分割を意識するだけでも、
コードの読みやすさと安全性は大きく改善します。


④ 重複コード(Copy-Paste Programming)

同じ、あるいはよく似た処理が、
複数の場所にコピペで存在している状態です。

短期的には早く終わりますが、
後から仕様変更やバグ修正が入った瞬間に問題が爆発します。

「ここも直したっけ?」という不安を常に抱えながらの修正は、
精神的にもかなり消耗します。

共通処理は早めに切り出し、
1か所を直せば全体が直る構造を作ることが重要です。


⑤ ワイルドカードインポート

from module import * を使うことで、
どこから来た名前なのか分からなくなる問題です。

規模が小さいうちは気になりませんが、
ファイル数が増えるほど、名前衝突や可読性低下の原因になります。

「書くのが楽」よりも、
「読む人が分かる」を優先すべきポイントです。





⑥ 他言語のパターン(Singleton / Builder など)の強制

JavaやC++でよく使われる設計パターンを、
Pythonでもそのまま再現しようとするケースです。

「プロっぽい設計にしたい」「設計パターンを使っているから安心」
そんな気持ちから導入されがちですが、Pythonでは過剰になることが少なくありません。

Pythonは、

  • モジュール自体がシングルトン的に振る舞う
  • 関数やデフォルト引数で十分なケースが多い

という特性を持っています。

他言語の制約を前提にした設計を持ち込むと、
コードは冗長になり、意図も伝わりにくくなります。

大切なのは「パターンを使うこと」ではなく、
その言語で自然かどうかです。


⑦ LBYL(石橋を叩いて渡る)の過剰使用

処理を実行する前に、
if 文で条件をすべて確認してから進める書き方です。

一見安全そうですが、
チェックと実行の間に状態が変わる可能性があり、
実は完全な安全は保証されません

また、

  • 条件分岐が増える
  • コードが読みにくくなる

といった副作用もあります。

Pythonでは、
「許しを請う方が許可を得るより簡単」
という考え方がよく使われます。

try / except を前提に設計することで、
結果的にシンプルで意図が分かりやすいコードになることも多いです。


⑧ ショットガン・サージェリー

1か所の仕様変更のために、
大量のファイルやクラスを修正しなければならない状態です。

これは、機能や責務がうまくまとまっておらず、
ロジックが各所に散らばっているサインでもあります。

修正漏れが起きやすく、
テストが通っても「どこか不安」が残るのが特徴です。

責務をまとめ、
「変更点が自然に1か所に集まる設計」を目指すことが重要です。


⑨ 溶岩流(Lava Flow)とデッドコード

もう使われていないはずなのに、
怖くて消せないコードが残り続ける状態です。

「消していいか分からない」
「昔の仕様だから触れない」
そんな理由で放置されがちです。

結果として、

  • コード量が増える
  • 理解コストが上がる
  • 新しい人が混乱する

といった問題を引き起こします。

テストと履歴が整っていれば、
不要なコードは安心して削除できます。


⑩ プリミティブ型への執着

電話番号、金額、ID、状態などを、
すべて文字列や数値だけで扱う設計です。

最初は楽ですが、

  • バリデーションが各所に散らばる
  • 意味の違いがコードから読み取れない
  • 誤った値が紛れ込みやすい

といった問題が起こります。

小さくても意味のある値には、
クラスや型として名前を与えるだけで、
コードの安全性と読みやすさは大きく向上します。

これら10個の設計ミスに共通するのは、
「今は楽だけど、後で必ず苦しむ」という点です。




改善のための具体的なリファクタリング手順

ここまで紹介してきた設計ミスは、
「気づいたけど、どう直せばいいか分からない」
という状態で止まってしまうことがよくあります。

でも安心してください。
多くの問題は、いきなり大改修をしなくても、小さな手順を積み重ねることで改善できます。

この章では、現場で特に効果が高く、
Pythonコードでもすぐに使えるリファクタリング手順を紹介します。


メソッドの抽出(Extract Method)

1つの関数やメソッドが長くなってきたら、
それは設計を見直すサインです。

以下の流れで進めると安全です。

  1. 処理のかたまりを見つける(バリデーション、計算、保存など)
  2. 意味が分かる名前を付けた関数に切り出す
  3. 元の関数から呼び出す形にする

これだけで、

  • 処理の意図が読みやすくなる
  • テストを書きやすくなる
  • 再利用しやすくなる

といった効果が得られます。


クラスの抽出(Extract Class)

巨大なクラスに悩まされている場合、
責務を分けるだけで状況が一変することがあります。

進め方のポイントは次の通りです。

  1. 常に一緒に使われている属性や処理を見つける
  2. それらを担当する新しいクラスを作る
  3. 元のクラスから委譲する形に変更する

「分けすぎが怖い」と感じるかもしれませんが、
分けられる構造にしておくこと自体が大切です。


条件分岐の簡素化

深い if のネストは、
読みづらさとバグの温床になります。

まずは、

  • 異常系は早めに return する
  • 正常系を下に残す

というだけでも、コードの流れがかなり整理されます。

さらに条件が増えてきた場合は、
戦略をオブジェクトとして切り出すことで、
「if文を追加する設計」から卒業できます。


こうしたリファクタリング手順を体系的に学びたい場合、
定番としてよく参照されるのが次の一冊です。

リファクタリング(第2版)
実際のコードを少しずつ改善していく考え方が、
今回紹介した手順とほぼ同じ流れで解説されています。

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次の章では、
そもそもこうした設計ミスを生まないために、どう予防するか
という視点で、ツールや開発プロセスの話をしていきます。




設計ミスを検出・予防するための仕組みづくり

リファクタリングはとても重要ですが、
毎回「問題が起きてから直す」だけでは疲れてしまいます。

理想は、設計ミスが大きくなる前に気づける仕組みを作ることです。

この章では、Python開発で現実的に導入しやすく、
効果が高い予防策を紹介します。


静的解析ツールを味方につける

人間はどうしても、
「慣れたコード」「自分のコード」に甘くなります。

そこで役に立つのが、静的解析ツールです。

  • 未使用の変数やインポート
  • 例外の握りつぶし
  • 複雑すぎる関数

こうした問題を、機械的に指摘してくれます。

特に、

  • Pylint
  • Flake8
  • Radon(複雑度チェック)

は、設計の「臭い」に早い段階で気づく助けになります。

CIに組み込んでおけば、
問題のあるコードが自然と入りにくい流れを作れます。


メトリクスで「危ないコード」を見える化する

感覚だけでコードを判断すると、
「なんとなく嫌だけど説明できない」状態になりがちです。

そこで役立つのが、メトリクスです。

代表的なのが、循環的複雑度です。

  • 分岐が多すぎる関数
  • テストしづらいロジック

を数値で把握できるようになります。

数字が高い箇所は、
「悪」ではなく「要注意ポイント」として扱うのがコツです。


コードレビューは「設計」を見る時間

コードレビューというと、
文法や書き方の指摘だけになりがちです。

しかし、本当に価値があるのは、

  • 責務が適切に分かれているか
  • 将来の変更に耐えられる構造か
  • 意図がコードから読み取れるか

といった設計視点での確認です。

レビューを「ダメ出しの場」ではなく、
「設計を言語化する場」にすると、
チーム全体のコード品質が底上げされます。


読みやすいコードは設計の延長線にある

「読みやすさ」は、
インデントや命名だけの問題ではありません。

責務が整理され、
構造が素直であれば、
自然とコードは読みやすくなります。

こうした考え方を、
言語を超えて学べる定番の一冊がこちらです。

Clean Code
設計・命名・責務分離といった考え方を、
レビューやチーム開発の視点で整理できます。

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まとめ|「小さな設計判断」が未来の自分を救う

ここまで、Python開発でよくある
「最初は問題にならないのに、後で確実に苦しむ設計ミス」を見てきました。

どのパターンにも共通しているのは、
「その瞬間は合理的に見える」という点です。

納期が迫っている。
とりあえず動かしたい。
あとで直すつもりだった。

これらの判断自体が悪いわけではありません。
問題は、そのまま放置され、
「直しづらい構造」に固まってしまうことです。

技術的負債は、金銭的な借金とよく似ています。
少しずつ利息が増え、
気づいたときには身動きが取れなくなります。

だからこそ大切なのは、
完璧な設計を最初から目指すことではありません。

  • 責務が重なってきたら分ける
  • 読みづらくなったら整理する
  • 不安を感じたら立ち止まる

こうした小さな改善を積み重ねる姿勢が、
結果的にコードの寿命を大きく延ばします。

ボーイスカウトのルールに、
「来たときよりも美しくして帰る」という言葉があります。

コードも同じです。
今日触った場所を、ほんの少しだけでも良くして帰る。
それを続けるだけで、未来の自分やチームは確実に助けられます。

この記事が、
「この設計、あとで地獄を見ないかな?」
と一度立ち止まるきっかけになれば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


あわせて読みたい

今回の記事内容とあわせて読むと、
設計・保守性・リファクタリングの理解がさらに深まります。


参考文献・参考リンク


よくある質問(Q&A)

Q
設計ミスに気づいたら、すぐ直すべきですか?
A

必ずしも即座に直す必要はありません。
ただし、「どこが危ないか」を認識したまま放置するのは危険です。

影響範囲が小さい場所や、
今後触る予定がある箇所から、
少しずつ改善していくのが現実的です。

Q
リファクタリングで壊してしまうのが怖いです
A

その不安はとても健全です。
だからこそ、小さく・段階的に進めることが大切です。

関数を1つ切り出す、
条件分岐を1段浅くする、
その程度でも十分な前進になります。

Q
どのタイミングで設計を見直すのがベストですか?
A

一番良いタイミングは、
「違和感を覚えた瞬間」です。

読みづらい、触るのが怖い、説明しづらい。
そう感じたコードは、設計を見直すサインだと考えてください。

その小さな違和感を無視しないことが、
地獄を回避する最大のコツです。

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